私が体育講師をしていた頃、子どもにできるようになってほしい!と、保護者から一番求められる種目は逆上がりでした。
「子どもが幼児期のうちに、逆上がりができるようになってほしい!」
「先生!逆上がりの練習はいつからですか!?」
「ウチの子、逆上がりできるようになりますかね?」
「ええ、とにかく私に任せてください!」
こう答えた私は、何人もの生徒が逆上がりを習得する瞬間を目の当たりにしてきました。
そんな私が今回ご紹介するのは、逆上がりの教え方です。
逆上がりはある程度の知識がないと家庭で教えるのも難しいですよね・・・。
だからこそ、子どもにどうやって教えればいいんだろう?とお悩みの方も多いかと思います。
しかしご安心を!
この記事では、逆上がりの正しい形や教え方、効果的な練習方法と大ボリュームでお伝えしていきます。
もちろん幼児だけでなく、小学生を対象にしても有益な記事ですので、ぜひ参考にしてみてください。
逆上がりの基本的な形
ちなみに、鉄棒の高さは子どもの胸くらいが理想です。
ちょうどいい鉄棒の高さを選んだら、まずは基本的な形を確認しましょう。
鉄棒の握り方・腕・足の3点で、それぞれポイントをご紹介していきます。
鉄棒の握り方
鉄棒の握り方には順手・逆手の2種類があります。
順手
順手は鉄棒の上からかぶせるように握ります。
逆手
逆手は手のひらを上に向けて鉄棒の下から握ります。
逆上がりを実践するのであれば、やりやすいのは逆手です。
なぜかと言いますと、逆上がりは自分の身体を引きつける力が必要で、逆手で鉄棒を持った方がその力を引き出しやすいからです。
ただ、必ず逆手でなくてはいけない!というわけではなく、順手でも逆上がりはできます。
どちらの持ち方で練習するのか迷ったら逆手をオススメしますが、お子さんがやりやすそうな握り方でかまいません。
腕
腕は鉄棒を握ったらしっかりと曲げましょう。
なぜなら、腕を曲げないと身体を引き付けられないからです。
握り方を確認したら、腕を曲げて身体が鉄棒から離れていないかを確認してください。
〇
×
実は、腕を曲げるのは最重要ポイントです。
特に幼児期は身体が軽いので、腕をしっかり曲げたまま蹴り上げができれば、蹴る力が多少弱くても腕の力だけで回れる可能性があります。
足
上の画像のように、腕を曲げてしっかり握ったら、鉄棒の下で足を前後にしましょう。
これは、回るために遠心力を利用した強い蹴り上げをするためです。
強く蹴り上げるためには蹴り足を後ろにし、振り上げたら前足でグッと力強く踏ん張れるように足を前後にします。
最初の時点で両足が揃っていると、上に強く蹴れず腕だけの力に頼らざるをえないです。
なので、必ず前後に開きましょう。
逆上がりの教え方
上記の基本的な形がバッチリであれば、早速逆上がりを実践していきます。
ポイントは、腕を曲げたまま蹴る・強く蹴り上げる・回るの3点です。
それではこの3つのポイントごとに、教え方を確認していきましょう。
腕を曲げたまま蹴る
先ほども言いましたが、腕を曲げるのは逆上がりにおいて最重要ポイントです。
逆上がりは蹴り上げの動作からスタートしますが、この時腕が伸びてしまうと回ることができません。
最初は、蹴り上げ方に関してはそんなに上手じゃなくても良いので、
「腕を曲げたまま蹴ってごらん!」
「胸が鉄棒から離れないように蹴ってね!」
と声掛けしましょう。
腕を曲げたままで、下の画像のように蹴った後上で足を揃えることを意識すると良いです。
これさえできれば、腕を曲げたまま蹴るという点で言えば完璧なので、まずはここを目指しましょう!
どうしても腕が伸びてしまう場合は逆上がりで腕が伸びるのは2つのことが原因!?改善方法は?を参考にしてみてください。
強く蹴り上げる
蹴り上げは目標が大事!
「自分の頭を蹴るつもりでやってごらん!」
と、お子さんに明確な目標を与えてあげましょう。
強く蹴り上げる具体的な方法としては、
足を前後に開いたら、後ろ足を1、前足を2だとして、「1,2!」と素早く、そして強く上に蹴り上げます。
素早くというのがコツをつかむポイントで、蹴り上げがゆっくりだと遠心力が足りず回りきれません。
補足として、足を前後にした時に右足と左足のどちらを蹴り足(後ろ足)にしたほうがやりやすいかを見極めるのも重要です。
おそらく子どもによって上手に強く蹴れる足が違うと思うので、前後の足を変えて両方実践した上で蹴り足を決めると良いです。
もし、逆上がりの蹴り上げでつまずいたら逆上がりで足が上がらない!蹴り方の特徴に合わせた改善方法まとめを参考にしてみてください。
回る
鉄棒をしっかり握り、腕を曲げ、強く蹴ることができたらいよいよ回ります!
回る感覚はコツをつかむまでが大変です。
以下では、声掛けの仕方やコツをつかむための方法をご紹介します。
回るコツをつかむきっかけとなる声掛け
回る感覚をつかむために、声掛けできっかけづくりをしてあげましょう。
「おへそを鉄棒にくっつけてごらん」
「蹴った後腕を曲げたまま、上で足を揃えたらグッと腰を上げてみよう」
「蹴った後つま先から目を離さないようしてごらん」
などです。
ある程度形になってきた子ほど、意外とその先から進まないケースが多いです。
それは、回りきるという部分においては感覚的な要素が大きいため、子どもがその先どうしたら回れるのかがわからないからです。
指導する側は子どものつまずきに応じていくつかの声掛けを試し、子どもがコツをつかむ手助けをしてあげることが重要になります。
実際に私が幼児体育の講師をしていた頃は、つまずいた動作に応じて上記の声掛けを試して習得した子が何人もいました。
回るコツをつかむための方法
回るコツをつかむには、回転感覚を身に付け、自分で回るという成功感覚を養うことが重要です。
その方法がこちら。
・補助で軽く腰を押して、何度か回してあげる ・蹴り上げの途中で止まってしまったらその場面で腰を支え、そこから自分の力で回る ・タオルや補助ベルトを使用した練習で実際に自分の力で回る感覚を養う |
逆上がりの形と手順を覚え、それでもつまずいてしまったら上記のような方法を実践してみましょう。
かなり効果的な方法なのでオススメ!
欲を言えば、補助の時、回った後に鉄棒にあごをぶつけたりするとあぶないので、降りた時軽く胸あたりを押してあげると安全です。
また、回った勢いで後ろに転ぶ子もいるので、逆の手で背中を添えてあげられると良いです。
タオルを使った練習方法はこちらの記事を参考にしてみてください。
逆上がりでタオルを使った練習は効果的!ただしそれだけでは・・・
逆上がりに効果的な練習方法
逆上がりを実践する際には、これから紹介する練習方法は非常に効果的なので必見です。
なぜなら、この記事で紹介する練習方法は、逆上がりに必要な動きを分解して習得できるからです。
具体的に言いますと、逆上がりの動きは大きく分けて3つあります。
1.引っ張る 2.蹴る 3.後ろに回る |
上記の分解した一つ一つの動きを練習することで、逆上がりに必要な力が身に付につき、コツをつかむことができます。
もし逆上がりの練習をしていてこの分解した動きのどれかにつまずいたら、これから紹介する練習方法で補強することをオススメします。
逆上がりの練習は自宅でもできる?親子で行える練習方法まとめでは家庭でもできる逆上がりの練習方法をご紹介しているので、良かったらあわせて読んでみてください。
では、効果的な練習方法は以下の通りです。
おサルのぶら下がり(腕支持)
画像のように腕を曲げ、顔が鉄棒より上にくるようにぶら下がる運動遊びです。
持ち方は逆手が引っ張る力を出しやすいですが、順手でも良いですし、子どもがやりやすい方で大丈夫です。
おサルのぶら下がりを10秒間くらいできたら、十分身体を引き寄せる力が身に付いていると言えるでしょう。
もしこの動きが難しいようでしたら、子どもと両手を繋いで引っ張りっこをするなど、鉄棒がない状態で引っ張る練習から始めてみると良いです。
その際も腕を曲げて引っ張るのを意識するようにしてください。
川跳び
地面に足で線を引き、川をつくってそれを飛び越える遊びです。
この川を片足踏み切りで飛び越える練習を何度も実践します。
もちろんゴムやロープなどでも良いです。
片足踏み切りで飛び越えることで、
逆上がりで必要な「1、2!」で足を振り上げる際の1(足の振り上げ)に必要な動きのコツを習得できます。
坂道後ろ回り
・跳び箱1段に踏み切り板をかけ、その上にマットを敷いて坂道を作ります。 ・坂道を作ったら跳び箱に後ろ向きで座りましょう。 ・素早く自分の頭の後ろに向かって足を振り、そのまま回って手で地面を押して起き上がります。 |
注意点として、指は後ろ向きで手は耳の横、転がった時に手のひらがマットにしっかりとついているかを確認するのを忘れずに!
間違ったつき方だと手を捻ってしまう恐れがあるので、回る前に手の形を確認してから実践するようにしてください。
逆上がりにおいて「回る」のは感覚的なものだと先ほど説明しましたが、後ろ回りはその感覚にかなり近い動きなので、実践しておくと効果的です。
坂道を作るのが難しい環境でしたら、坂道なしで行っても良いです。
足を頭の上に向かって振ったら、少しお腹を持ち上げてあげると後ろ回りと同じ動きになるので、坂道でない場合はこのように補助してあげましょう。
後転のコツをつかむ練習方法で、体育の授業を簡単攻略!も参考になるかと思うので、あわせて読んでみてください。
坂道逆上がり
学校などで鉄棒の前に置いてある逆上がり用の補助具をみたことはありますでしょうか。
この器具を使用した練習も非常に効果的です。
この坂道の器具を使用した練習方法は、「1,2」で登り「3!」で後ろに向かって蹴ります。
通常逆上がりは「1,2!」で蹴り上げますが、坂道を使用した場合は「1,2,3!」なので、数字が一つ増える感じですね。
3の時に後ろに向かって力強く蹴りましょう。
これは、強く蹴るイメージを養うのと同時に、以下の効果が期待できます。
・どこに向かって蹴れば回れるのかがわかる(自分の頭を目標に後ろまで) ・実際に逆上がりと同じ動きで回る感覚を身に付けてコツをつかむことができる |
ただし、ある程度逆上がりの形や手順を習得していないとあまり効果的ではないので、まずはこれまで紹介した練習方法で動きを習得しておくことをおすすめします。
反復練習あるのみ!家庭用の鉄棒もおすすめ!
逆上がりは非常に複雑な動きです。
なので、頭で理解していても身体がついてこないケースが多々あります。
とはいえ、子どもの感性はすばらしいです。
練習を積み重ねれば大人を超える力を持っています。
子どもの能力を存分に引き出す方法、それが反復練習。
家庭用の鉄棒があれば、好きな時に鉄棒に触れることができます。
逆上がりを最速で上達するなら、家庭用の鉄棒があると便利!
お子さんへのプレゼントにいかがでしょうか。以下の記事でおすすめの鉄棒をまとめています。
逆上がりの教え方まとめ
逆上がりの形から教え方、練習方法まで大ボリュームでお伝えしていきました。
逆上がりはたくさんの動作の集合体で、実践する子どもも色々なことを考えなければいけません。
なので、教えるお父さんお母さんは気長に見てあげてください。
親が焦っては子どものためとは言えません。
まずは本記事を参考に、簡単なことから少しずつステップアップしていきましょう!
逆上がりの習得を目指す際は、頭で理解するより感覚で動きを習得する子も多いです。
なので、子どもがコツをつかむまでは、その子に合った声掛けや練習方法は色々なものを試すと良いです。
そのためにも、教える大人の知識がある程度必要になります。
本記事を読んでいただければ逆上がりの教え方に関する知識の幅は広がると思います。
ぜひ参考にしていただき、子どもに逆上がりを教える手助けになれば嬉しいです。
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